
12月、空気がキリッと澄んでくるこの季節。肌に触れる冷たい空気さえも心地よく感じられるような朝。そんな冬の始まりにぴったりなのが、海と温泉のある場所へのリトリートです。あえての“暖かくない”旅は、心と身体を静かに整えてくれます。
今回ご紹介するのは、東京から約2時間でアクセス可能な千葉県・館山。朝焼けの美しい海辺を歩き、ゆったりとした時間の流れる温泉宿に泊まり、新鮮な地元グルメに舌鼓。喧騒から離れ、五感で季節の移ろいを味わう大人の癒し旅です。
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【静かな海辺で一日の始まりを】
館山湾の朝焼け

冬の館山湾は、静けさと美しさが共存する特別な空間。特に朝の時間帯は、日常ではなかなか出会えない景色が広がります。朝6時30分前後、海辺に立つと、空がほんのりピンクやオレンジに色づき、海面にはその光が静かに反射します。
北条海岸や那古海岸は、その朝焼けを楽しむのにぴったりなスポット。駅から徒歩圏内という立地の良さもあり、朝の散歩にも最適です。ベンチに腰掛けて温かい飲み物を飲みながら、少しずつ目覚める空を見ていると、時間の流れがゆるやかに感じられます。
実際に足を運ぶと、海岸に漂う潮の香り、波が打ち寄せる音、朝のひんやりとした空気が、心身をリセットしてくれるのを感じられるでしょう。耳を澄ませばカモメの鳴き声も聞こえ、自然の中にすっと溶け込んでいくような感覚になります。
【アクセス】
東京駅からはJR特急「さざなみ」で約2時間。館山駅から北条海岸までは徒歩10分程度。羽田空港からも館山行きの高速バスがあり、全国各地からのアクセスもスムーズです。
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【温泉で心と身体を解きほぐす】
たてやま温泉郷

冷えた身体をじんわり温めてくれる温泉。特に冬の旅には欠かせない存在です。館山には海を望む温泉宿が点在し、その中でも「たてやま温泉郷」は絶景と湯の癒しを同時に味わえる名所。
オーシャンビューの露天風呂に浸かれば、目の前に広がるのは波の穏やかな海。朝の光を浴びながらの朝風呂、夕暮れどきに沈みゆく太陽を眺める夕風呂。それぞれ異なる趣を持ち、何度でも入りたくなってしまいます。
ほとんどの宿で駅からの無料送迎があり、車がない方でも安心。宿によっては、露天風呂付き客室や貸切風呂、リラクゼーション施設が完備されているところも。旅の目的に応じて選ぶのも楽しみのひとつです。
また、夜には宿の中で地元の食材を使った創作料理が楽しめることも。夕食後には湯上がりスペースでのんびり過ごし、早めに布団に入るという、まさに“整う”夜が体験できます。
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【旬の食材で舌も満たす】
冬の館山グルメを堪能

館山の楽しみといえば、やはり豊かな海が育む旬のグルメ。冬は魚がもっとも脂を蓄える季節。新鮮な刺身はもちろん、地元ならではのアレンジ料理にも注目です。
漁師町らしい豪快な海鮮丼が食べられる「相浜亭」、落ち着いた空間でコース料理を楽しめる「波奈総本店」など、それぞれ個性の異なる食事処が揃っています。特にアジフライは地元の名物で、揚げたての衣の中にふわっとした身が詰まっていて絶品。
また、朝食におすすめなのが「館山海の駅」の市場食堂。朝獲れの魚を使った定食や干物を炭火で焼いて楽しむメニューも。新鮮な魚介が食卓に並ぶ贅沢は、旅先でこそ体験したいひとときです。
カフェ好きの方には、駅近くの「館山カフェクラブ」や海沿いの「夕日海岸カフェ」もおすすめ。木のインテリアに包まれながらゆったり読書したり、地元野菜のランチプレートを楽しんだり。時間を気にせず過ごせる空間がそこにはあります。
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【モデルプラン】
1泊2日のおすすめスケジュール
・Day1
10:00 東京駅発、特急「さざなみ」で出発
12:00 館山駅着。海辺をゆっくり散歩しながらランチへ。
13:30 道の駅や地元の直売所でお土産チェック。
14:30 宿にチェックイン。まずはひとっ風呂。
16:30 サンセットを見ながらもう一度温泉へ。
18:00 宿の食事で地元の味を堪能。
20:00 湯上がり処でまったりタイム。
・Day2
6:30 早起きして北条海岸で朝焼けを鑑賞。
7:30 朝風呂〜旅館の和朝食。
9:30 チェックアウト後、地元カフェでコーヒー。
11:00 「館山野鳥の森」で森林浴&リラックス散歩。
13:00 東京へ向けて出発。
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【まとめ】
静けさとあたたかさが満ちる、館山の冬旅へ
館山は、都心からの距離を感じさせないほど自然が豊かで、訪れるたびに新しい発見があります。
派手な観光スポットではないからこそ、ゆっくりと流れる時間に身を任せて、自分と向き合うことができる場所。冬の海の静けさ、朝焼けの柔らかな光、温泉のぬくもり、地元の旬の味——。
そのすべてが、日常で疲れた心と身体をやさしく包み込んでくれます。五感を研ぎ澄ませながら、自分自身を再び整える。そんな旅に出てみませんか?
少しだけ早起きをして、東京から南へ。館山で過ごす冬の2日間が、きっと特別な時間になるはずです。

